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INDIA
LADAKH

インドの最北部、

ヒマラヤ山脈とカラコルム山脈に挟まれた

​標高 約3000~7000mの山岳地帯にある

チベット文化圏「ラダック」。

​過酷な自然環境の中で、

チベット仏教に基づいた独特で豊かな文化が

​古来から長きにわたって育まれており、

​チベット文化が色濃く残る貴重な場所です。

ABOUT LADAKH

ラダックってどんなところ?

> 基本情報
場所:インド共和国 ラダック連邦直轄領
※2019年10月31日、ジャンムー・カシミール州の分割に伴って連邦直轄領となりました
面積:59,146k㎡(日本の約1/6)
人口:約27万人(2011年)
気候:降水量の少ない乾燥した気候
冬は-20度以下、夏は最高気温30度以上となることも。6月~9月が夏で、残りは長い冬となり春や秋は短い。
言語:主にラダック語(チベット語の方言)
若者や観光業の人には英語が通じることが多い

ラダックの暮らし

ラダックの暮らし

伝統的なラダックの暮らしは、持続可能で地球に優しい循環型生活です。
ヤクの毛から糸を紡いで服や毛布を作り、日干し煉瓦を作って家を造り、

身近にあるもので自給自足が成り立っていました。

高地のため作物が育つ時期は約4ヶ月間と極めて短いにも関わらず、人糞と家畜の糞尿を肥料にし、

氷河から溶け出した水を畑に引くことで、1年間に必要な小麦や大麦の生産を可能にしました。

さらに、交易をするほどの余剰を生み出す生産力を維持してきました。

そして、ラダックの環境に適した作物の作り方、家畜の育て方、有益な植物の見分け方といった、

様々な知識と技術を親族や近隣の人々から子供たちが学ぶことにより、

この営みは絶えず継承されていきました。

食文化

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ラダックでは主に大麦、小麦を主食としています。
「ツァンパ」と呼ばれる炒った大麦を粉にしたものをお碗の中でバター茶と練って作る「コラック」。

ツァンパを大鍋で水から練って作る「パバ」。

これらは自家製ヨーグルトなどと一緒に食べることが多いです。

羊肉や野菜が入った蒸し餃子は「モクモク」と呼ばれています。

また、小麦粉を練ったものと、野菜や肉、自家製チーズ「チュルペ」等と一緒に煮込む料理は、

小麦粉を練る形によって名称が異なります。

生地をサイコロ大にちぎって親指で潰す「スキュー」、

筒型にした生地の真ん中をつまみ蝶ネクタイのようにした「チュータギ」、

生地を四角に切ったものは「テントゥク」と呼びます。

近年は、インドから入ってくる米やチャパティもよく食べています。

伝統文化

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ジュレー・ラダックの交流プログラムでも訪問している

アムチ、シャーマン、オンポは、古来からとても大切な存在です。


アムチはチベット伝統医のことで、村人の病気やけがを治療しています。

特定の場所から採集したハーブから作った自家製の薬を使い、

患者の脈や尿などから検診し、時にはお灸も行います。

シャーマンは薬で治せない病気の治療や悩み事、紛失物を解決する呪術師。

患者が病気の時には不浄物となる黒い魂が体内にあると信じられており、

ストロー状の筒を使って患者の体から吸出するなどして治療します。

オンポと呼ばれる占星術師は、結婚、妊娠、出産、祭りや旅行、

農作業から死に関する様々なことを取り決めます。

ラダックの人々にとって、占星術は物事の良い始まりや幸運を得るための最も重要なものの一つです。

ラダックの社会課題

近年、旅行者の増加や開発によって、

ラダックには急速に近代化の波が押し寄せています。
 

物質的に豊かになっていく反面、

自然との共存やコミュニティに重きを置く価値観や

伝統的な文化は徐々に破壊され、

今までは存在しなかった日本で起きているような

社会問題や環境問題を生み出しています。

 

ヒマラヤを越えてやってくる補助金をかけられた農作物は

ラダックで生産されたものより安いため、

農業は非経済的なものとされて人々は農業をやめ、

賃金労働を求めて農村を離れる傾向にあります。
これは中心都市レーの人口集中を誘発し、

市場経済に依存した生活を人々にもたらします。

自給自足から離れた人々の食料や物資は

夏の間トラックやバスによってレーまで運ばれ、

空気の薄いラダックでは大気汚染が問題に。

 

外部の物資にはプラスチックなど

自然負荷のかかるものが多く含まれているため、

水質汚染やごみ問題が深刻化しています。


開発によってもたらされた「学校」では、

ラダックで生きるための知恵ではなく、

都市での消費生活に適応する知識や技術を

教えていくため子供の価値観が変わりつつあります。

ラダックではまだ伝統文化を色濃く残しており、

自然との結びつきは強く、

コミュニティの絆は固いといえますが、

グローバル化によって年々このような問題が起きています。

これらの問題に対して、現在ラダックでは、

NGOが活発に社会問題に取り組んでいます。

チベット仏教との関わり

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ラダック人の多くがチベット仏教徒であり、

村には必ず「ゴンパ」と呼ばれる僧院が一つあります。

各家庭にも、仏間が最上階にあり、毎朝仏間の水を取替えて祈り、

焚いたお香を持って全ての部屋を回ります。

タルチョと呼ばれる青・白・赤・緑・黄の五色の旗には経文が書かれ、

家の屋上や山頂などによく張られています。

風になびくと読経したことになり風が平和を世界に運ぶと言われています。

人々はマニ車と呼ばれる、中に経文が書かれた仏具を回しながら

「オンマニパドメフム」という真言をよく唱えており、

これもタルチョと同様、回すと読経したことになります。

各僧院では仏教に関する祭りが行われ、中でも最大の祭りが

2日間にわたって行われる、ヘミスゴンパのヘミス祭です。

今では世界中から見物客が訪れ、僧の仮面舞踏(チャム)が見られます。

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